アジアンタムの葉の裏にある茶色い粒を見て、「ここから新しい株を育てられるのかな?」と思ったことはありませんか。アジアンタムはシダ植物なので、種ではなく胞子から増やす方法があります。
ただし、胞子をまけばすぐに小さなアジアンタムが出るわけではありません。
この記事では、家庭で胞子から育てるときの採取・準備・まき方・管理を紹介します。
アジアンタムの胞子を採取する

葉裏の茶色い部分は、胞子そのものとは違う
肉眼で見える葉裏の粒は、胞子を作る胞子嚢などが集まった部分です。胞子そのものは非常に細かく、採取すると粉のように見えます。粒の付いた葉を土へ挿すだけで、新しい株が育つという方法ではありません。
胞子嚢が茶色く成熟している葉を探します。ただし、すでに胞子が出たものや、葉が傷んだものもあるので、色だけで採取の成功は保証できません。元気な株から少量の葉を選び、親株の葉を大量に切らないようにします。
白い紙の上で胞子を集める
清潔なはさみで胞子嚢のある葉を切り、白い紙の上へ胞子嚢側を向けて置きます。風のない乾いた場所で待つと、成熟した部分から細かな粉が落ちる場合があります。紙を強く振ったり、息を吹きかけたりしないでください。
粉が集まったら、葉の大きなかけらを取り除きます。採取した日付と株の名前を記録し、ほかのシダの胞子と混ざらないようにします。保存期間や条件によって発芽しにくくなる場合があるため、使う準備を整えてから採取する方が扱いやすいでしょう。
清潔な容器へ胞子を薄くまく

容器と用土を用意する
- 透明なふたがある浅い容器
- 胞子まきに適した、細かく清潔な用土・培地
- 採取した胞子と、日付・株名のラベル
- 霧吹き、必要に応じて清潔なピンセット
胞子から育てる際は、カビや別の植物が混じることが大きな課題になります。容器と道具をきれいにし、用土は胞子まき向けの処理済み資材など、用途が分かるものを選びましょう。庭の土や、以前別の植物を育てた土をそのまま使う方法は避けます。
用土の消毒や加熱が必要な場合は、資材の案内に従い、耐熱性のある道具を使って処理します。薬剤を使う場合も、製品の用途と濃度の説明を守り、自己流で混ぜないでください。加熱した用土は、十分に室温まで冷ましてから胞子をまきます。
用土を湿らせてから、表面へまく
用土を容器に入れ、全体を均一に湿らせます。水が表面にたまるほど入れず、手で強く押し固めないようにします。準備できたら、紙を軽く傾けるなどして、細かな胞子を表面に薄く散らしてください。
胞子は土で覆いません。種のように穴へ埋めたり、厚く土をかけたりすると発芽を妨げる場合があります。大量に一か所へまくより、薄く分散させることを意識しましょう。まいた後に強い水流を当てると胞子が流れるため、必要な水分は先に用土へ含ませます。
ふたをして、直射日光を避ける
容器へふたをし、湿度を保てる状態にします。明るい間接光のある場所へ置き、直射日光が当たる窓辺や暖房器具の近くは避けます。透明な容器は日差しで内部が高温になりやすいので、明るければどこでもよいわけではありません。
株や胞子の状態、温度などによって育つ速さは異なります。一般的なシダでは、発芽の確認まで数週間、小さなシダの葉を見るまで数か月かかる場合があります。アジアンタムが必ず決まった日数で育つと考えず、まいた日と観察した変化を記録してください。
前葉体と小さな株を乾燥させずに育てる

最初の緑色は、すぐに親株と同じ姿にはならない
胞子が発芽すると、用土の表面へ薄い緑の組織が広がり、前葉体が育ちます。小さなハート形に見えるものなどがあり、最初から細い茎とたくさんの葉が出るわけではありません。この段階を知らないと、「苔のようなものしか育たない」と失敗に見える場合があります。
前葉体で受精が起こるには水分が必要です。表面を乾かしすぎず、一方で常に水没させないように管理します。ふたを何度も開けると乾燥や汚染の原因になるため、まず外側から観察し、必要な手入れのときだけ開けます。
緑の膜や白いものを、すべて前葉体と決めない
用土が緑色になっても、藻や別の苔が混じった可能性があります。白くふわふわしたものや異臭がある場合も、正常な成長と決めつけないでください。写真を記録し、形の変化や小さなシダの葉が出るかを継続して見ます。
局所的にカビが出た場合は、清潔な道具で問題の部分を取り除き、水分や容器の状態を確認します。広範囲に汚染が広がる場合は、別の清潔な材料でまき直す方がよいこともあります。見た目の色だけで、成功や失敗を断定しないことが大切です。
小さな葉が複数育ってから移す
新しいシダの葉が複数出て育ってきたら、小さなまとまりで、適した用土へ移します。早い段階で一株ずつ引き抜くと傷めることがあるので、葉をつままず土ごと扱います。移した後も、乾燥と直射日光を避けて管理してください。
容器内の高い湿度で育った株を、急にふたのない部屋の空気へ出すと傷む場合があります。ふたを少しずつ開けるなどして、時間をかけて環境へ慣らします。株が十分に育ったら、アジアンタムの通常の管理へ移行します。早く株を増やしたい場合は、胞子まき以外に株分けという方法も検討できます。
まとめ
アジアンタムを胞子から育てるには、成熟した葉から細かな胞子を集め、清潔で湿った用土の表面へ薄くまきます。土をかけず、ふたで湿度を保ち、直射日光と乾燥を避けましょう。先に前葉体が育ち、その後に小さなシダが現れるため、観察には時間が必要です。葉が複数育ってから移し、急に乾いた環境へ出さず少しずつ慣らします。

